2012.06.06 Wednesday
目に火、面に光
それから退職決定までに時間がかかったのはいくつかの理由がありますが、そのひとつは、休職して世界一周に行くことも検討したためです。
休職を選択しなかったのは、そもそも現時点では今回の旅の期間と内容で使える制度がなかったためですが、会社幹部の方との面談を重ねた際には私のために新たに制度を作ることも話に出ました。結果として実現しませんでしたが、むしろ私がその話を受けて考えたのは、仮にそこまでして休職して行かせてもらった場合、その恩義に応えることは一生をこの会社に捧げることだが、その覚悟があるか、ということでした。家族のために安定した身分を確保することが休職検討の背景で、身に余る評価を受けていることも含めて、心が揺れました。ただやはり考え抜いた末、私の覚悟するところは、硝子を売ることではなく、社会問題を直接的に解決する仕事だという原点に帰り着きました。よって、30歳という区切りも理由にして、一歩踏み出すことにしました。つまり、世界一周のために退職するのではありません。
1兆円企業を動かして、社会を動かす、という方法も魅力的ですが、諸々の問題は待ったなしで私が仮に偉くなれるとしてもまだまだ時間がかかるのと、ビジネスの世界にも同じような志を持って優秀な人がたくさんいるので、私は外に出ることに決めました。ある程度満ち足りた人の生活をより良くするよりも、死にそうな人や苦しんでいる人が生きられたり苦しまなくなるほうに、私はパッションを感じます。また、週末や余暇の時間を充てるだけで満足できないほど、不条理な社会問題が山積していることにも因ります。「社会問題を直接的に解決する仕事」というのは抽象的ですが、いくつか考えていることがあるので、世界を一通り見つつ、旅の間に決めて動き出すつもりです。
そもそもの原点として、学生のときに難民支援や国連の仕事をしていて、卒業後すぐにその道に進むよりも、国連やNGOが解決しようとしている問題の根本にビジネス(資本主義)が大きく影響しているのだから、実際に自らの身を置いて、ビジネスの世界を知ることが得策だと考えました。7年ちょっと勤めて、どこまでその目的が達せられたかは分かりませんが、営業として日本で一番売るようになり、社内外の要人と仕事で関れたことには、一定の満足があります。一番の収穫は、ビジネスの仕組みを知ったことよりも、会社員が、どのような気持ちで働き、何に喜び、悩み、やりがいを感じているかを身をもって知れたことかもしれません。
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